理事長挨拶
理事長 控井 一雲
生活のあらゆる基盤に「木」を頼みとしてきた日本は、その多様で上質な木を様々に活用することに卓越した技術を蓄積して来ました。木彫はその賜物の大きな一つです。
飛鳥時代までさかのぼる木彫の仏様、神社仏閣等建築物の細部に装飾のためにほどこされた見事な彫り、神の依り代たる山車にはめこまれた彫り、身のまわりの品々に見られるさりげなくも美しい彫り。木と共にあった日本の心が育て磨きあげた木彫の世界を、かつての様に身近な親しいものにすべく、又、次世代に伝えるべく、私共日本木彫刻協会はあります。
人間の何世代もの命をはるかに超えて生き聳える木は霊が宿ると信じられ信仰の対象でもありました。そのことを思う時、伐られ、大地を離れた木に仏様を刻まむとしてノミを入れる時の仏師達の畏れと信仰の心はどれほどのものであったかとふと想像します。
仏は常にいませども 現ならぬぞあわれなる
人の音せぬ暁に ほのかに夢に見え給ふ 梁塵秘抄
会長挨拶
会長 関 侊雲
今日の日本において、木彫刻師や仏師をはじめ様々な分野で活動している「木彫刻家」は数多く存在しています。その分野は、欄間や仏像以外にも祭りでよく見かける山車彫刻など私たちの生活に身近なものまで、多方面に渡ります。
しかしその一方で、先人から連綿と受け継いできた技術を一般に披露する場は非常に限られています。公募展などに出展できる分野は制約を受け、認知されているのはほんの一握りと言わざるを得ません。
このような歪みを無くし、木彫刻に従事する者なら誰もが平等な立場で評価される場を設けたいと思い、日本木彫刻協会を立ち上げました。
広く木彫刻を普及することと、日本が誇る木彫刻の文化や貴重な技術を次世代に引き継いでいくために、これから活動していきたいと考えています。
副会長挨拶
副会長 紺野 侊慶
「木」というのは、いつの時代も我々日本人の日常生活とは密接な関係を築いてきました。古来、日用品や住居の資材などは勿論のこと、時代が下るにつれて機能性だけでなく次第に芸術性を帯びるようになり、社寺仏閣の装飾彫刻や欄間はその代表格と言えます。木が持つ質感や心を和ませる香りのみならず、その彫刻としての美しさにも親しみを感じてきました。
木で制作された彫刻は、他の素材では出すことのできない表現を出すことができます。
素晴らしい日本古来の伝統技術から新しい表現まで、皆様の心に触れる彫刻を、より身近に感じていただけるような活動を行って参りたいと思います。
副会長挨拶
副会長 吉川 浩市
私は小さな頃からモノ作りが好きで、小学生の時の木工の授業がきっかけとなり、木彫刻の道に進みました。彫刻刀で削った時の木の香りや温もりは、今でも忘れられない思い出です。
自分が職人となり、社寺仏閣の数百年もの時を超えた木彫技法に触れた時は、その偉大な知恵と奥深い技術に大きな感動を覚えました。
以来、優れた日本の刃物だからこそ出来る、個々の木材の良さを最大限に生かす彫刻技法の探求に、日々励んでおります。日本人が木と共に育んできた「生きた技術」を、日本木彫刻協会を通じて多くの方々に伝えていきたいと思っております。
事務局挨拶
城崎 侊和
仏教伝来とともに大陸から伝わったとされる木彫刻は仏像から寺院などの社殿の欄間、柱などの建築彫刻へと移り変わり、江戸に入ると身近な木工製品や芝居や茶道の道具など、幅広い分野で受け継がれてきました。
1000年を超えて今なお続く技術は、繊細さや忍耐強さを感じさせ、日本人の感性の結晶に思えてなりません。
長く続いてきた技術に、より多くの皆様に触れていただき、その歴史を知って頂けるよう努めてまいりたいと思います。